第36章 ~拾漆~SHAKY
廊下を走っていた一護は足を止め、背後から感じた霊圧に身を固くし後を振り返る
「気付いたか、力ばかりのガキかと思っていたが」
階段の一番上に立っていたのはウルキオラ
ウルキオラはゆっくり階段を降り始めその場から動けない一護を余所に近寄っていく
「存外まともな感覚もあるらしいな」
「テメーは…」
「久しぶりだな、死神」
「ウルキオラ!!」
「俺の名を覚えているのか?お前に名乗った覚えはないんだがな」
睨み付ける一護と前に立ったウルキオラの間に暫しの沈黙が訪れる
「…まぁいい。朽木ルキアは死んだ」
「何……だと…!?」
その言葉に一護は凍りつき声を震わせる
「正確には第九十刃と相討った。全身を斬り刻まれ槍で体を貫かれた。生きてはいまい」
「適当なこと言うなよ…ルキアの霊圧が小さくなってはいるが消えちゃいねぇ。戦ってもいないお前がそんな事判る筈――」
「認識同期…第九十刃の能力の一つであり彼の役目の一つでもあった能力だ。奴は自分の戦った敵のあらゆる情報を瞬時に全ての同胞に伝えることができる」
一護は急に反転すると、元来た道を歩き出す
「何処へ行く?」
「ルキアを助けに行く」
「何日前の事だと思っている…もう死んでいる」
「信じねえ」
「狷介な奴だな…俺を殺して行かなくていいのか?」
そう言うウルキオラに一護は刀を振りかざした
ウルキオラは一護の攻撃を素手で受け止め一護の刀を押し返し間合をとる
「どうやらアンタは…オレをこのまま通す気は無さそうだな…」
一護は不敵に笑う
「…だが悪りぃな…こっちも急いでんだ…全力でいくぜ」