第35章 ~拾陸半々~INVADE3
サラは朦朧とする意識の中、グリムジョーを見つめた
「…つまんねぇウソつくなよ?もう一度だけ聞く…テメーら何をした」
グリムジョーの背中から感じる威圧感と恐ろしさに声が出ない
するとグリムジョーは振り返るやいなや手に霊圧を込める
虚閃―――
二人が思った瞬間、サラがグリムジョーの腰にしがみついた
「………何だ」
グリムジョーが目線を向けると、サラは力の入らない腕で精一杯力を込める
「だ……めっ…!!!」
息も絶え絶えに止めようとするサラにグリムジョーは虚閃を消す
それを確認したサラはその場に崩れ落ちた
グリムジョーは意識のないサラを抱き抱えると歩き出す
「……次はねぇと思え」
ロリ達はその冷たい声に、グリムジョーが居なくなってからも暫くの間、動く事が出来なかった
サラの部屋へ着くと寝台へと寝かせる
上着を脱がすと痛々しい程の擦り傷と痣、裾を捲ると同じ様に怪我していた
グリムジョーは懐から小瓶を取り出すと、サラを揺すった
「グリム…ジョー…?」
うっすらと目を開けるサラの口に押し当てる
「飲め」
そういうと無理やり流し込んだ。サラは少し咳き込むとそのまま意識を失った
するとサラの傷がみるみるうちに治っていく
「すげぇな…」
それは以前、ザエルアポロから貰った物でグリムジョーの腕が斬られたさいに痛み止めとして使っていた物だった
サラが虐めにあっていると知ってからは常に薬を持ち歩いていた
オレらしくもねぇ…
そう思いつつサラの部屋を訪れたがサラの姿は無い
舌打ちをし帰ろうとした途端、微かだが一瞬だけサラの霊圧を感じた
理由はしらねぇが普段は殆どの霊圧を消しているサラの霊圧が上がる
丁度よく意識をしていたオレにしか感知出来ねぇだろう
そしてその場所へ向かうと案の定だった。現行犯だからオレも気兼ねなく奴らを殺る筈だった
だがコイツは自分を痛め付けた相手を庇った
初めてだ…このオレが殺す事を躊躇して止めるなんてよ
コイツといるとオレの知ってるオレがオレで無くなる
ぶっ壊してやりてぇ…