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月に泣く~BLEACH~

第34章 ~拾陸半~INVADE2


「…何故止める」


私はゆっくりと腕を下ろすとフッと悲しい笑みを浮かべた


「ウルキオラ…貴方何しに来たの?」


「理由などない。お前が部屋を脱け出していないか確認しに来たまでだ」


「…そんな事しないわ。心は常に一緒にいる。だから恐くないし貴方を殴る必要もない」


「…心だと?そんな物は存在しない」


「在るわ。誰の中にも…勿論貴方にも」


「くだらん…俺にはそんな物は無い」


「気付いていないだけよ」


「くどいな、そんな目に見えぬものなどゴミ以下だ。そしてそれを信じる奴も塵に等しい」


「ウルキオラ…貴方 可哀想な人ね」


私は静かな瞳でウルキオラを見つめる


「可哀想…?」


「今、はっきりした…貴方の恐怖は“虚無”…
存在の意義、理解できるような真理に価値が無いと思っている」


「真理…事象を統制する原理の事か それがどうした?だからなんだと言うんだ」


「真理が存在しない…その主張こそが真理になっている事に気付いてる?」


「――――っ」


「そうやって懐疑的な目を向けているほど貴方は“心の在り方”に興味を抱いている…」


その瞬間、ウルキオラは私を寝台へと押し倒した
そして口と口が触れそうな距離で話す


「興味だと?抱いているとすればそれは嫌悪だ。俺はそんなくだらん物は信じない」


以前からだ
この女と関わると嫌悪が沸いてくる
この女にではなく自分にだ


「ウルキオラ…近いわ」


その言葉にウルキオラは静かに唇を重ねた
お互いの視線が絡み合うなか、ウルキオラはゆっくりと唇を離した


「お前等の中では意味の在る行為も俺にとっては何の意味も価値も無い」


ウルキオラは立ち上がると扉へと歩き出した


「それは今も、そしてこれからもだ」


そういうと部屋を出ていったウルキオラに向かいポツリと呟く


「哀しい人…」


私は溜め息をつくと手の甲で目を覆った

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