第4章 ~参~BE LOVED
「そうですけど…?」
「そうか…オレが初めてか。いいもん見せてくれて...ありがとな」
そう言うと海燕さんは優しく頭を撫でる
「い…いぇ……?」
私は少し戸惑った。今まで頭を撫でられた事は何度もある。だが今みたいに優しく撫でられた事は初めてだった
(いつもは乱暴なのに…?)
「…サラの髪ってキレイだよなぁ?」
海燕さんは撫でていた手を少しずらし、私の髪をゆっくりと流す様に撫でる。
その表情はいつもの優しい顔と違い、男の顔をしているように見えて
「あ…あの…海燕さん?」
海燕さんはしばらく私を見つめた後、ゆっくりと手を離し後ろを向く
「わりぃ…」
表情の見えない海燕さんに私は、今までにない緊張と戸惑い言葉が出なくなった。それでも何か言わねばと口を開く
「―――海燕さ… 」
「都も髪伸ばさねぇかなぁ...なぁ?」
振り返った海燕さんはいつもの海燕の顔に戻っていて
「(気のせいだったのかな...)そ…そうですね、でも都さんはあのままが一番良いですよ」
「そうかね~?…そろそろ帰るか!日が暮れちまうしな。
よし、走って帰るぞ競争だ!!」
そう言って海燕さんは走り出した
「えっ?待ってくださいょ~υ」
海燕は走りながら顔をしかめ後ろを追いかけるサラに聞こえない様に呟いた
何だよ
どうしたんだよオレ
オレには都がいる
なのに…
ずっと妹の様だと思ってた筈なのに―――
「――やべぇな、これ…」