第34章 ~拾陸半~INVADE2
尸魂界 十三番隊舎 雨乾堂
朽木ルキアが隊の命令を無視して虚圏に渡って数日が経過した
尸魂界は『時期』が来るまでは一切動かないようとの総隊長からの命が下っている
浮竹でもその時期が来るまではどうにも出来ない
ハルカが虚圏に渡ったのが分かった以上、朽木が助けに行くのは目に見えていた
だが今はまだその時期ではない
一応 朽木の動向には気をつけていたつもりなのだが甘かったか…
朽木はハルカと現世の若者達に非常な恩を感じていた。そして友情の念も
その想いは自分の想像を超えていたというのが事実だ
来るべき決戦に備えやるべきことは山ほどあるのだ
だがふとした空白があれば朽木やハルカの無事を案じてしまう
「よう色男、元気にやってるかい?」
「春水!!」
勘のいいこの男は俺の心配事があると、見透かしたようにふらりと顔を見せる
「おっ今日は顔色いいみたいだねぇ。結構 結構」
「ああ。体調はいいんだ このところな」
「体調は…ときましたか。やっぱり心配なようだねぇサラちゃんとルキアちゃんのこと」
「ハルカは無論心配だが朽木はそれほどでもないんだ」
「いやあ~流石だねえ。ルキアちゃんの実力を信じてるんだ
僕はまた本当は結果的に行かせちゃったのを後悔してると思ってたんだけどね?」
「後悔か…場合によってはそうなるかもしれないな」
「おや?やけに悟ってるじゃない?」
「朽木は自分の誇りを護る戦いに行ったと俺は思っている。だからたとえ俺が止められたとしても止めなかったかもしれない」
「君の信条ってやつ?」
「まあな。だが俺は確信していることがあるんだ。朽木は一人では絶対死なない」
「そりゃまたなんで」
「海燕がそうあいつに教えたからだ。あいつを鍛えてたのは海燕だからな
朽木の中で海燕の教えは大きい…戦士としての戦い方も心構えもみんな海燕が朽木に教えている
海燕の信条は”一人では絶対死ぬな”だ。だから朽木は一人では絶対死なない…勿論ハルカもな」
「海燕君か…確かに彼の存在は大きかったからねぇ。
まだ相当言われてるんだろ?副隊長を選任しろって山じいに」
するとハハッと苦笑いをしながら浮竹が まあなと答える