第34章 ~拾陸半~INVADE2
一護と対峙した十刃落ちの敗北を知らせる一報が藍染の耳に入る
「…なんや自分の部下が殺られたゆうのにエライ楽しんではりますなぁ?」
「…そう見えるか」
「ちゃうの?あの子らがココへ向かって勝ち進んで来てんのが楽しぃてかなわん…そういう顔してはるけど」
「楽しむか…何故かな、確かにそれに似た感情は持っているよ。可笑しいと思うか?」
「…まさか 不思議とボクもおんなじ気分ですわ」
ニヤリと笑うギンを見て藍染は昔の事を思い出す
何時からだったかな
自分の腹心となるべき者を求め始めたのは
それなりに死神としての素質がある者は居た。だがそれだけじゃ駄目でね
真正の悪でなくてはならないんだ
魂の底から悪でなければ私の腹心とは成り得ない。唯の手足になる存在など掃いて棄てるほどいる。
そんなものに意味は無い。私の頭脳の一部となりえる存在でなくてはね
そしてギンを見つけた
まだ子供だったがそんな事は些細なことだ。要は素質があるかどうかだからね
それで一つの試験をした
私がギンに課した試験は三席を殺せるかどうかだ
死神としての能力と倫理的能力をそれで試した
よかったよ…予想以上にね
何の躊躇いも無くうちの三席を惨殺してくれた
「副隊長さんはボクをどないするつもり?」
「何、大したことじゃない。私の副官として育てていこうと思っているだけだよ」
「いたいけな子供を悪の道に引きずり込むん?」
「心外だね…いたいけな悪い子は他の道に行きたいのかな?
安心するといい、私が育ててあげよう…うんと悪い子にね」
私がそう言った途端、笑ったギンが印象的だった
「…今 昔の事思い出してましたやろ?」
そしてギンは今や私の僅かな表情を動きを読むことが出来るまでに成長した
時に小憎らしくなるほどに
「いやなに、育ったものだと思ってね」
「背ぇですか?」
「…随分と悪い子に育ったものだと感心していたんだよ」
「そら育てたお人がワルやから...責任とってもらわんと」
「安心するといい。それくらいの度量は持ち合わせている」
人材は育てるものだ
その労を払わぬ者に真の人材など集まりはしない
ましてや腹心など得ることなど出来はしない
そうだろう?