第34章 ~拾陸半~INVADE2
私は自室へ帰らずにある人物を探していた
暫く宮の中を探し回っていると、そんな自分を見つめる視線に気付いて振り返る
すると、目的の人物グリムジョーと目が合った
グリムジョーは目があった途端に、目を逸らし舌打ちをするとその場を去ろうとする
「グリムジョー」
私はそんなグリムジョーに駆け寄り腕を掴んだ
「……何だよ」
「ちゃんと謝りたくて」
グリムジョーが向き直ると、サラは目線を逸らした
「さっきはごめんなさい…私酷い事言った…」
「…別に」
思いがけない謝罪に戸惑いそれしか言えねぇ
今までのオレなら毒を吐き捨てる返ししかしなかっただろう
はっ…律義なこった!!
うるせぇ話しかけんな
頭ではそう思った筈なのに口からは違う言葉が出ていた
サラは少し安堵した様な表情をみせオレと目を合わせた
「ありがとう…」
それだけ言うとサラは宮を出ていった
くそっ
何なんだよあの瞳は
オレの中を見透かす様なあの…
その瞳を見つめていると、ふと自分は存在しているのか?という暗い不安が頭に過る
全ての存在にあるはずの時間に
空間に
この世界に…だ
唯、確かめたくて
その不安を埋めるように唯、あの女の体温に触れたくなる
「チッ…気に入らねぇ…」
藍染も
あの女も
そしてオレ自身も
グリムジョーはサラの後ろ姿を見えなくなるまで見つめていた