第34章 ~拾陸半~INVADE2
「一護を自分の獲物と考えていることもそうよ。黒崎一護を倒す事が自分の印象をより強められると考えているんでしょう?
6と言えば微妙な数字、10ある内の最初でも最後の方でもない数字 いかにも埋没してしまいそうな数だわ」
「テメー…殺されてぇのか?」
霊圧を上げ睨み付けるグリムジョーに動じる事なく私は淡々と続ける
「そしてそれはまさしく貴方にとっては恐怖な筈…そしてその恐怖を払うために貴方は常に戦いを求めている
戦っている時はその恐怖を感じないから、恐怖を払うために貴方は戦いを求め強さを求める。その為には罰を受けようが犠牲を払おうが厭わない」
「うるせぇ…」
グリムジョーは拳を握りしめる
「体の数字の刻印は直接の支配下にあるという証…
一度外れてしまった貴方には誰にも意識を払われぬ恐怖が重く圧し掛かったんでしょうね」
私はグリムジョーに目線を合わせるとクスッと笑みを浮かべた
「実に気の毒だわ…」
その瞬間、グリムジョーは私を壁に押さえ付け拳を振り上げた
私はそれが判っていた様に静かに目を閉じた
だが、いつまで経っても痛みはやってこない
ゆっくりと目を開けるとグリムジョーは振り上げた筈の拳を下ろしていた
「…殴んねぇよ」
「………?」
「殴ってほしいと思ってるヤツに殴ってやるほどオレの拳は安かねーんだよ…」
そう言うとグリムジョーは去って言った
「…バレちゃったか」
そう呟くと私はその場に崩れ落ちる
自暴自棄になった自分の行動にグリムジョーを利用した
言うつもりも無かった言葉が次々に出て、それが分かっても止めなかった
彼ならきっと我慢ならなく自分を殴るだろう
そう思った
でもそうじゃなかった
「そんなに下手だったかしら…」
私は自虐的に笑うと膝を抱え顔を埋めた