第33章 ~拾陸~INVADE
その言葉に一護が口を開く
「…何さっきから勝手な事言ってんだよ…無駄足?バカな事言ってんじゃねー!!」
真剣な眼差しの一護はサラを見据えて声を荒げる
「オレ達が何も知らないと思ってんのか?もう全部判ってんだよ!!お前が井上を…オレ達を…死神の奴らも護ろうとしたって事なんかとっくに判ってんだ!!」
ル「だからこそ助けに来たのだ。サラだけが苦しい思いをするなんて――」
「…………それが何?」
ルキアの話を遮る様にサラが呟く
「だったらなんなの?私が裏切ったという事には変わりない…」
「違う!!お前は裏切り者なんかじゃねぇ!!だからお前を連れ戻すんだ!!」
「いい加減して!!!」
サラの怒鳴り声が砂漠に響く
「どうして…そこまで判っているならどうして来るのよ…」
サラはポツリと呟くと拳を握りしめる。サラの体は微かだが震えていた
「サラ、オレ達は――」
「帰って!!!此方から手を出す事はないし織姫にも手は出さないと約束したの!!!今ならまだ間に合う…だから――」
「何だよそれ…何でサラだけがそんなに重いモノを背負わなきゃなんねーんだよ!?」
サラは一護の声を遮る様に両手で耳を覆うとその場にしゃがみこんだ
「聞きたくない…帰って…お願いだから帰って……」
「……!!!」
一護は歯を食い縛り、ルキアは涙を浮かべる。他の者も悲壮の顔を拭えなかった
すると突然、特徴ある抑揚の声が聴こえてきた
「あーあ…助けに来た王子様が姫を悲しませてどないすんの」
サラの後ろには腕を前に組んだギンの姿が映し出された
「……市丸…ギン!!!」
一護達は思いがけない人物の登場に一瞬、驚いた表情を見せるもすぐに睨み付けた