第33章 ~拾陸~INVADE
藍染は誰も居なくなった部屋で映像を眺めていた
そしておもむろに笑みを浮かべた
恐らく彼らは あまりにも普通の事を私が言った為、再び拍子ぬけしていることだろう
敵はたった3名、しかもとても強敵とは見えない人間
私の指示も平凡だ。誰もが何処もおかしいところは無いと思う筈だ
この程度ならば わざわざ集められる必要は無い
だが私は十刃を召集した
ここに<恐怖>が生まれる
強くも無い敵に対し普段通りに待機せよという指示
何故この程度の事に私が招集させたのか彼らは当然頭を巡らせているはずだ
そしてあの3名に十刃を招集させる意義がどこかにあると思うに違いない
そして余興がいよいよ幕を開ける
これは一種の試験
どの者がどの程度 <待て>が出来るかどうかの試験なんだ
彼らはあの3名に言い知れぬ恐怖を感じるだろう
そしてその恐怖を打ち去るべく彼らを倒したいと思っている筈だ
だが私からの指示は自宮待機…恐らく彼らは葛藤する筈だ
<待つ>ことというのは自分の恐怖と戦う事だ
つまりちゃんと<待てる者>が今回の恐怖に打ち勝つ能力があるというわけだ
無論待てずに動いて侵入者と戦ってくれても構わない
あの3名を倒してくれてもかまわない
そして逆に君達が返り討ちにあったとしても私は全く構わない
どの道そう遠くない時に君達は入れ替わる。それが少し早くなるだけのことだから
そうなればサラはどんな顔をするだろう
彼女の事だからどちらが倒れても悲しい顔をするんだろうね
美しい顔は悲壮に歪み、未だ見せたことの無い涙を見せてくれるかな?
久々に笑った顔をみたい気持ちもあるがそれ以上に精神が崩壊していく様もみてみたいんだ
さあ…余興の幕開けだ
藍染はいつまでも映像を見つめていた