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月に泣く~BLEACH~

第33章 ~拾陸~INVADE


彼らは被害者だ
それにも関わらず誰一人として自分を責めなかった


(言ってもしょうがないからという理由なんでしょうけどねぇ…)


その彼らは今虚圏に居る
虚圏への門を開いて欲しいと言われるとは分かっていた


喜助がその考えに至った時、彼らが生存して現世へ戻ってくる確率を計算した


絶望的な数字だった


それでも行かせた
全てはサラを助けたいから…


崩玉を作った張本人の自分は此処にいて被害者である一護達は虚圏で死線をかいくぐっているというのに


(…つくづくって言うかアタシは最低な生き物ですね…)


眼を覆った喜助の口元に自嘲にも似た笑みが浮かぶ


此処に残った以上、何としてでも崩玉を無に帰す方法が必要なのだ


だが正直なところ、今の段階では突破口を見つけ出せていない


冬までその方策が見つかる目処は経っていない


しかし喜助は誓っていた
必ず見つけ出すと…僅かな可能性がある限りそれを信じて追い求める


必ずある
喜助の勘が告げている


黒崎サン達やサラさんが生還する確率は確かに低い…
でもゼロなんかじゃない


アタシは以前、サラさん達の低い確率を知りながら尺魂界に行かせました


そして立派に応えてくれました今回も信じてます


いや…信じさせてください


僅かな確率を


そしてアタシも戦います


僅かな確率とね


喜助は首元に手をあてると、帽子を元に戻してまた画面を睨みつけ化学式を解く


「…なんとかしましょう、絶対に」


喜助の首には麻紐を通したサラの指輪が光っていた

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