第33章 ~拾陸~INVADE
勉強部屋に連なる隠し部屋に喜助の研究室が存在する
真っ暗な部屋に画面の明かりだけが煌々と点っていた
映し出されているのは崩玉の中核をなす部分
喜助はここ最近この画像と睨み合いを重ねていた
喜助は黒腔を開く研究の他に崩玉を破壊、無効化させる研究をしていた
机に両肘をつき、顔の前で両手の指先だけを合わせて人差し指に唇を当てる
眼は鋭く、そこにはいつもの怠惰な店主の面影はない
不意にふうっと一息つくと帽子で目元を覆い椅子に完全に体を預ける
「…なかなか巧くいかないもんスねぇ」
だが何らかの方法を見つけ出さねばならない
そしてそれは喜助にしか出来ない事だ
藍染が攻めてくる冬までになんとしてでもその方策を見つけねばならない
いや…一刻も早く
喜助の脳裏に虚圏に行かせた一護たちの顔が過る
一護たちは崩玉を作ったことに対し喜助を一度たりとも責めなかった
彼らはそのことに対して自分を責める権利があると喜助自身そう思っていた