第32章 ~拾伍半~NEW WORLD2
「…膝 貸せ」
「寝るの?」
「ああ...マジで寝るってのはいい。だからこそ起きたくねえ...俺が起きなきゃなんねえ時は――――」
ポツリと呟く様に発された言葉が部屋に溶け込む
私がスタークを見るとスタークは眉を寄せ目を閉じていた
自身の膝の上で目を閉じるスタークの頭を撫でる
ゆっくりとした手つきで幾度か撫でた時、身じろいだかと思うと私の腰に両腕を回し抱き込んだ
先に出会ったのがあの人じゃなく...
「あんただったらよかったのに...」
「...スターク?」
「………なんだよ」
「…なんでもない」
「………そうかい」
少しくぐもった声で返事を寄越すスタークが可愛くて思わず笑みを溢しながら頭を撫でると、回された腕の力が強くなる
「ごめんね怒った?」
「いや…逆だ…」
先程から自身を覆うサラの影と、すぐ傍で感じられる温もりは孤独を恐れる俺に安心を与えてくれた
そんな気持ちを汲み取ってくれたのかサラは何も言わず頭を撫で続けてくれた
「…ありがとな…サラ…」
それだけ呟くとスタークは静かに眠りについた
「……辛いわね…お互い」
サラの弱音は誰に聴かれる事もなく空をさ迷い消えていった