第32章 ~拾伍半~NEW WORLD2
いつの間にか眠っていたリリネットに私は毛布を被せると、またスタークの横に腰掛ける
「二人は元々一つだったのよね」
「…まあな」
「リリネットが言ってた…スタークに仲間が出来て嬉しいって」
「…悪ぃな、アンタにとっちゃ憎い相手だろ」
「いいえ…そんな事ない」
その言葉にスタークはゆっくりと目を開ける
「仲はどうであれ仲間が居るっていうのは良いことよ…スタークに仲間が出来て良かった」
「…変わってるなアンタ」
「だって私も孤独が一番怖いもの」
「…なら今が一番キツいだろ」
「スターク…孤独の何が怖いと思う?」
スタークは黙ったまま私を見つめる
「一人になる事も確かに怖い…でも一番怖いのは忘れられた時よ。その時、初めて人は孤独になる...だから私は独りじゃないわ」
「…アンタ…強いな」
「口にでも出さないとやってけないでしょう?」
サラは困った様に笑みを浮かべた
「…俺達は恐怖から生まれ恐怖より逃れることはねぇ…その存在を変えることは出来ず、憧れを口にした所で自分が置かれた状況が変わるわけでもねぇ…」
いくらもがこうとも与えられても奪われるのも抗いようが無い
闇であることは変わらず光が強く輝けば押し潰されてしまう
本当に望むものは手に入りはしないのだ
「…スタークの憧れって?」
「さぁね…それすら忘れちまった」
「…何だか似てるわね…私達」
少しの間部屋は静寂に包まれていたが不意にスタークの手が腰に伸びてきてサラの身体を抱き寄せる