第32章 ~拾伍半~NEW WORLD2
「さっき手当した時に伝わってきた...手当と言うのは棚心って言って手のひらでその人の心に触れる事なの。傷の痛みも心の痛みも伝わってくる…」
私はスタークの手を取ると自分の手を重ねる
「戦うのが嫌い…戦いたくない…孤独が恐い…」
その瞬間、スタークの手が微かに動く
「……手当ってのもバカになんねぇな…」
スタークは思い出していた
リリネットと二つに分かれた時の事を―――
「……名前はあるか?」
「…リリネット…あんたこそ名前なんかあるの?あたしだったくせに」
「……スターク」
「スターク……これから何するの…?」
「何だってできるさ」
「じゃあドコへ行くの?」
「どこへでも……一緒に行こうぜ」
その時、微笑んだリリネットを見て俺は少し救われた
そして仲間を作ろうとしたんだ。だが俺達と違って奴らは弱かった
作っても作ってもすぐ死んでいく。そんな時、あの人に会ったんだ
「…凄いな。君達がやったのかい?この虚の山は」
「違う。勝手に死んだだけだ」
「そうか」
「アンタ…強そうだな」
「どうかな。私は仲間を探している」
「奇遇だな俺達もだよ。アンタの仲間は強いのか?」
「知りたければ来るといい」
「…分かった。アンタなら俺達と居ても死ななそうだ」
そして俺は十刃になった
でも俺は戦うのが嫌いだ
戦いなんてのは皆全部狂わしちまう
そして今此処にいる
面倒くせぇことこの上なしってやつだ
でも…
一人じゃない
一人じゃない
もう一人じゃないんだ