第31章 ~拾伍~NEW WORLD
よく知った霊圧を感じて目を開ける
僅かに滲む疲労感。恐らく自分しか感じ取れないだろう
私は体を起こす事なくギンを見る
「…てっきり泣いてるかと思ったんやけど」
「………」
「…添い寝、したろか?」
黙っている私に肯定と取ったギンは隣に体を預ける
腕を私の頭に回す。抱き寄せ髪をゆっくりと梳く
「解放したかった…私達の魂は死んだら霊子となって地に還るから…死神として死んだあの人を尸魂界に…」
「…ゴメンな」
「いいの……あの人は海燕であって海燕じゃないから…
私の知ってる海燕は私の此処にいるから…だからもういい」
私は胸に手を当てると目を閉じてギンに擦り寄った
「でも…少し疲れちゃった」
ギンは黙ったまま、より強く抱きしめると何度も頭を撫でる
喉元に当たる吐息に愛しさが込上げる
暫くして規則正しい寝息が聞こえてくる
(なんや…大きい子供みたいやな)
軋みながら廻り始めた運命の輪
近い未来に訪れるであろう終末の時
悟っているのか
望んでいるのか
己が終焉の夢に魘され・・・
せめて今は安らぎに満ちた眠りを…
「ホンマに...ゴメン」
ギンは額に口付けると部屋を後にした