第31章 ~拾伍~NEW WORLD
真の姿を見せたアーロニーロは私の次の言葉を悟る様に話す
「顔ノ事ナラ黙ッテナヨ。僕ラ、コノ顔ノ感想ナラトウノ昔ニ聞キ飽キテル」
「……アーロニーロ…どうして海燕の姿を…」
「偶然ノ産物ダッタヨ、霊体融合シタ虚ヲ食ベタラコイツノ記憶ト姿ヲ手ニ入レタンダ
コイツノ記憶ノ中デ、オ前ガ一番多クテネ…ナラ オ前ノ中ニモコイツガ多イト思ッタカラ試シタンダヨ」
「…試す?」
「オ前ニハバレテシマッタガ、他ノ奴ラニハ使エソウダシネ?」
「貴方まさか…」
私はその言葉に最悪の状況を浮かべる
「僕ラノ能力は喰虚(グロトネリア)虚の屍を喰ラウ事デ霊圧と能力ヲ取リ込ム…ダカラギリアンデアリナガラモ…オレは十刃になった」
海燕の姿に変わったアーロニーロはニヤリと妖しい笑みを見せる
「姿も記憶も能力も…オレは志波海燕だろ?」
「…なんて事を……」
「なんて事?お前だってオレと会えて嬉しかっただろ?オレと話せて楽しかっただろ?オレに安定を求めただろう?」
「やめて…あの人と同じ様に話さないで...」
「フフ…話し方も完璧なようだね。これならコイツに近しい者なら易々倒せそうだ」
私は目を見開いて愕然とする
「コイツの顔でコイツの能力で倒す…何とも面白そうだね。例えばコイツを殺した小娘とかね」
私は微かに震える体を抑えようと唇を噛み締める
「そして悲壮の顔を浮かべ絶命した屍を喰らう…考えただけで食欲が湧くね」
アーロニーロは涎をすすると舌で口を舐め回す
その狂気に満ちた行動に自分の中に黒いモノが沸き上がってくる
悲哀
混乱
絶望
私は手のひらを固く握りしめた