第31章 ~拾伍~NEW WORLD
「んぅっ……」
酸素を入れようと薄く開いた咥内に素早く舌を入れ、私の舌を絡めとる
「あっ…ん……っ」
海燕はそのまま耳、首筋、鎖骨へと移動し舐め上げていく
「あぁッ…か…海燕…まだ話したい事が…ルキアの事とか…まだ話して…」
「あぁ…あんなガキの事なんか後にしろよ…」
その言葉に私は違和感を覚える
状況が状況だ
言葉のアヤかもしれない
その間も海燕は手を止めない
彼の太陽のような笑顔が記憶に残っている
変わらない温もりに
戸惑った…
ついさっきまでの貴方は伝わってくる体温と纏う匂いは日向のように暖かくて包み込まれる感覚が心地良いと感じた
でも今は息が苦しくなるほど強く抱き締められ身体を貫く熱と合わさる吐息は、有無を言わせぬ力で全てを奪っていくような
一緒に笑いたい
一緒に話がしたい
一緒に…一緒にいたい…
でも…もう…
私は力を込めて海燕を押し退けた
「ってぇ……何だよ」
「確かに私は貴方を愛していました…でもそれは以前の貴方であって今の貴方じゃない」
「…どういう意味だよ」
「海燕…貴方は誰なの?」
その言葉に海燕は暫し沈黙になる。そして立ち上がると大きな溜め息をついた
「あ~あ。黙ってれば愛しの海燕と結ばれたのに…」
「海燕…さん?」
「頭がイイのも大概にシナイトネ?」
急に声色が電子音を重ねた様な声に変わると海燕だった顔はカプセルに浮かぶ2つの拳大の頭へと変わり、
それはまるでホルマリンに浸けられた献体の様だった
私は言葉を失いただ愕然と見ているほか無かった