第31章 ~拾伍~NEW WORLD
「…ご用件はなんですか?」
「いやに唐突だな…そんなに焦らなくても時間はあるだろう?」
「………」
時間はある…その言葉にサラは黙ってしまう
「以前の様に接してもらいたいんだが困ったね…」
藍染はカップを机に置くと小さく溜め息を吐いた
「そんなに私が恐いかい?」
その問いに初めて私は藍染に視線を合わした
「一つ…聞いても?」
「あぁいいよ」
「藍染様は…どうして私を引き入れようなさるんです?」
「どうしてか…気に入ってるでは理由にならないかい?」
「………」
藍染は口端を上げるとフッと笑みを漏らした
「私は自分で言うのもなんだが物事の事象を予測の範囲にとどめて いかなる事態にも対応する事に長けていると自負していてね、それは今までに上手くいかなかった事はない」
私は崩玉を奪われた時の事を思い出す
何百年もかけて練られた緻密で精巧な計画に世界が踊らされている…この男の一種の能力だ
「だが今回は微調整が多かった。まぁ計画遂行に支障は無かったが…」
藍染は私を見つめる
その瞬間、何とも言えない感情が私の中を駆け巡る
恐怖…不安…虚無…
どれもしっくりこないがこの感覚は覚えていた
これは初めてこの人に会った時の感覚だ
この人に近付いたらいけない
感覚的に感じたあの時と…
私は喉の渇きを覚え、目の前の紅茶を飲んだ
それはこの気持ちにそぐわないくらい甘く温かかった