第31章 ~拾伍~NEW WORLD
「…さっきの…ああなると分かっていたのですか」
呟く様に問われた言葉に藍染はまた椅子に腰を下ろす
「ルピの事かい?彼はいい存在になってくれたよ 十刃落ちする事がどうなるか他の者に充分知らしめる事になったからね
ある程度の入れ替えがあることで緊張感が生まれる…そう思わないかい?」
私は黙ったまま藍染を見つめる
「そんな顔しないでくれ…ルピが死んだのは君のせいではない グリムジョーが勝手にした事だ」
「グリムジョーは…」
「躾だよ 彼は腕を斬られ十刃落ちしてからは、言う事を聴いて大人しくしていたから十刃に戻した それだけのことだ」
「躾…」
「飼い猫がいけない事をしたら叱らないといけないだろう?だが許すのも飼い主の務めだからね」
「………」
「心配しなくてもサラを愛玩動物にする気はない…君は頭がいいからね。自分の思う様に過ごすといい」
「…ありがとうございます」
藍染は笑みを浮かべると扉に目を向ける
「…もう少し話していたがったがどうやら迎えが来たようだね」
藍染は立ち上がると私の耳元で囁く
「明日私の部屋に来なさい」
「……失礼します」
サラは藍染の言葉に応えることなくその部屋を出ていった
その姿を面白そうに藍染は見つめていた
部屋を出ると壁に凭れる様にしてギンが立っていた
「久しぶりやねサラちゃん♪」
「…そうですね市丸様」
「何やのその他人行儀な言い方…前みたくギンて呼んでや?これから長い付き合いになりはるんやし」
「……努力します」
私が数歩歩いていくと、ギンは立ち止まったまま動こうとしない
「?」
「努力やったら今からして、言葉を改めるまでボクよう動かんわ」
ギンの子供染みた行動に私は少し目を丸くする
「……ごめんねギン」
「なら行こか」
ギンは笑みを張りつけて歩き出す
子供みたい…
この人のこういう本質は変わっていないのか
私は少し昔を思い出して切なくなった