第31章 ~拾伍~NEW WORLD
藍染の言葉に一瞬静寂が訪れた
ルピ「バカな!そりゃムチャだよ藍染様!!グリムジョー!?あいつの腕は東仙統括官に灰にされた!消えたものをどうやって治すんだ!!神じゃあるまいし!!」
「それを確認する為にも見せてもらうんだ。そうじゃないと取引は成立しないからね」
「確認させて下さい…私の能力が嘘ではないと判断出来たら…」
私が不安そうに藍染を見つめると藍染はフッと笑みを浮かべる
「ああ。あの女には手は出さないし当分は此方からの襲撃は控えよう」
私はルピの横をすり抜け、グリムジョーの前に立つと斬魄刀に手をかけた
「おい!命惜しさのパフォーマンスならやめとけよ!!出来なかったらお前を殺すぞ!!その能力ってのがニセモノならお前みたいな奴を生かしておく理由なんか…ない…ん」
目の前で起こっている事態にルピは目を見開いた。鞘の隙間から現れた銀色に輝く結晶がグリムジョーの腕を包んでいく
「(何だこれは…スゲーあったけぇ…)――!!!」
形成されていくグリムジョーの腕に一同は感嘆の息を漏らす
グリムジョー本人も驚きを隠せないでいた
「な、回復とかそんなレベルの話じゃないぞ 一体何をしたんだ!?」
「素晴らしい...君の能力は結晶体をあらゆる形状、硬度に変化させるものでは無かったかい?」
「…理論的には同じ事です」
「成る程…人を構成する成分に変化させたというわけか
だがそれは時間回帰や空間回帰よりも更に上 神の定めた事象の地平を易々と踏み超える神の領域を侵す能力だよ
今まで隠していなければ私に二度も斬られる事はなかっただろうね」
「……使える様になったのは最近ですから…」
私は藍染を見る事無く呟いた。隣ではグリムジョーが治った手をグッと握ってみる
まるで何事も無かったかのように、全く違和感無く動く腕にじわじわと実感が湧いてくる
「おい…もう一ヶ所治せ」
指示した場所は焼け爛れた腰回り、嘗て番号が刻まれていた場所だった