第30章 ~拾柶半~GOOD-BYE2
一護は浦原商店に着くと喜助に全てを話した
それを聴いた喜助は頭がついていかず何も言葉を発せない
「何か言ってくれよ…」
「…………」
喜助はただ呆然と指輪を見つめている
「何か言えよ!!」
そんな喜助に溜めていた怒りが込み上げた一護は胸ぐらを掴むと壁に叩き付けた
その拍子に帽子が床に落ちるがそれに対しても喜助は無反応だった
「何でアンタがそんな顔すんだよ…辛いのはサラだろうが!!」
一度口にした言葉は咳を切ったように止まらなくなる
「何でサラの事に気が付かなかったんだよ!!最後にサラと居たのはアンタだろうが!!
羨ましいくらいいつも一緒にいて…嫉妬するくらいアンタには心を許していて…オレには向けた事の無いような顔をするサラの一番傍にいたアンタが何で―――」
一護が不意に手に目をやると、どのくらい長い間握りしめていたのか喜助の手からは血が滴り落ちていた
「………ッ…クソッ!!」
一護は乱暴に手を放すと店を飛び出していった
喜助はゆっくり立ち上がるとふらふらと歩きだした
「浦原殿……」
「一人にしてください…」
喜助はポツリとそれだけ言うと部屋へと消えていった
そんな弱々しい喜助を見たのは初めてで誰も掛ける言葉が見付からなかった