第30章 ~拾柶半~GOOD-BYE2
太陽が真上に差し掛かる頃、喜助は窓から射し込む眩しさから目を覚ます
「ん…」
意識がハッキリとしない内に上体を起こすと水が頬が伝うのに気付き手の甲を当てた
「どうして濡れて…」
その時、手から何かが零れて目をやった喜助は眉を潜めた
「これ……サラさん?」
自分の手の中にあった指輪に、じわじわと不安に駆られ、急いで身形を整えると階段を下りていった
勢いよく居間の襖を開けると丁度食事中だったのか、全員が驚いて喜助を見上げていた
鉄「店長、今日は随分遅いお目覚めですな。声をお掛けしたんですけど熟睡されてたようで…」
「サラさんは!?」
茶「今日はまだ見てないが…」
ジ「また今日もどっか行ってんじゃねぇの?」
「………」
喜助は握りしめていた手を開き指輪を見つめると裸足のまま店の前に飛び出した
茶「浦原さん!?」
驚いた恋次達は慌てて後を追い喜助を止める
恋「ちょっ、どうしたんだよアンタ――」
「サラさんの霊圧を感じない…」
「は?サラが霊圧消してんのはいつもの事だろ?」
「そうじゃない!!全く感じないんだ!!」
声を荒げる喜助に皆押し黙る
「どういう事だよ…」
「店長、とりあえず中へ…」
周りの住人が何事かと顔を出し始めているのに気づいたテッサイは喜助を促すと中へと戻っていった