第28章 ~拾参半~RECOVERY2
-虚圏-
ウルキオラとヤミーが長い廊下を歩いていく
「ウルキオラ 入ります」
ヤミーと共に部屋の前へと移動したウルキオラは扉の外から声をかけた
「来たね ウルキオラ ヤミー…今終わるところだ」
部屋の中央では藍染がガラスの箱に入っている崩玉に手を翳していた
「崩玉の覚醒状態は?」
「五割だ 予定通りだよ 尸魂界にとってはね。崩玉を直接手にしたものでなければ判る筈も無い…
そして恐らく崩玉を開発して直ぐに封印し、そのまま一度として封を解かなかった浦原喜助すらも知るまい
封印から解かれて睡眠状態にある崩玉は隊長格に倍する霊圧を持つ者と一時的に融合することで、ほんの一瞬完全覚醒状態と同等の能力を発揮するということをね」
ドンと藍染の目の前の床が大きく抉れ、ガラスの箱が割れると藍染の目の前に服を纏わない少年が出現した
「…名を聞かせてくれるかい?新たなる同胞よ」
崩玉によって生み出された破面に問いかけた
「……ワンダーワイス…ワンダーワイス・マルジェラ…」
「…一ヶ月前に話した指令を覚えているね ウルキオラ」
藍染は笑みを浮かべるとウルキオラに向き直った
「はい」
「実行に移ってくれ 決定権を与えよう 好きな者を連れていくといい」
「了解しました」
「それと…解っていると思うが…」
「はい。ハルカサラには手をかけません」
「頼むよウルキオラ」
ウルキオラに命令を下した藍染は崩玉を握り少し歩くとピタリと足を止め、僅かに上を見上げた
「…あぁそうだ君も一緒に行くかい?グリムジョー」
其処に居たのは片腕を失くし、十刃から落とされたグリムジョーだった