第27章 ~拾参~RECOVERY
そして肩まで埋まった瞬間、引きずり込まれた。砂だった筈がいつの間にか水に変わり、底のない水槽になす術もない
苦しい…
でも月華はもっと苦しい
少しでも貴方の気持ちが解るなら、私は拒まない
薄れゆく意識の中、突然目の前に月華が現れる
《どうして君は…》
月華の言葉が意識として入ってくる
《…死なせない…》
月華は私に口付けると空気を送り込む
(月華…)
私はそのまま意識を失った
・
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目覚めると月華の腕の中にいた。月華は濡れた体を温める様に抱きしめていた
《起きた?寒くない?》
先程とはうって変わって優しい表情の月華に涙が溢れる
《サラ…》
「その顔また見せてくれるなんて思わなかった…月華ごめんなさい…」
《サラ、君はどうして僕が今まで君を避けていたかわかる?》
突然の問いに私は困惑する
「それは…私が貴方を手離したから…」
《確かにそれもある》
「………」
《…君が死ぬかもしれなかった時、君は何故現世に?》
「それは…」
それは人間だった時に死んだ場所に向かう為
《浦原喜助に会う為なら僕は何も思わなかった…君の幸せは僕の幸せだからね。
でも君は死に場所を求めた…それなら尚更僕を離したのは許せなかった
サラは最期の瞬間、独りを選んだ。僕の事を要らないと言われた気がしたんだ…》
私はその言葉にポロポロと涙を流す
《約束…忘れた訳じゃないのは分かってたんだ。僕の勝手な我が侭に悩ませてごめん》
私は首をフルフルと横に振ると月華に抱きついた