第27章 ~拾参~RECOVERY
ハッと意識を戻す。あんなにあった傷は無くなり衣服も直っている
辺りを見渡すとそこは見渡す限りの白い砂丘。私は此処に見覚えがあった
砂を一掴みし、手を緩める。サラサラと手から落ちる砂はまるで…
「月華…」
《呼んだかい?》
振り向くと少し離れた小高い砂山に若い男の姿
銀髪に漆黒の瞳…具象化した月華だった
「月…華…」
私は月華の元に歩み寄ろうとする。だが足が動かない。足元を見ると足が少し砂に埋まっていた
《久しぶりだねサラ…元気だった?》
話す物腰は優しいが感情の無い喋り方に私は胸が締め付けられる
「月華ごめんなさい、私――」
突如ガクンと景色が下がり、ふくらはぎまで砂に埋る
私は思わず月華を見た
《あぁ…動くと余計沈むよ?底がないからね》
「……月華…」
《…何で君がそんな顔をするの?》
「一人にしてごめんね…ずっと謝りたくて――」
《謝らなくてもいいよ…僕の意識に呼んだのはそれを言う為だ。だからもうサラなんて要らない》
その言葉を紡いだ途端、じわじわと体が沈んでいくのを必死で拒む
「月華!!許してなんて言わない!!でもこんな貴方見たくない!!」
《…勝手だね、こうしたのは君だよ?》
その冷たい目に、自分が映らない瞳に私は身動きをやめた
「そうね…全部私のせい。月華…私はどうしたらいい?」
《…早くしないと本当に沈むよ》
「月華がそれを望んでるなら」
私はあがらう事なく受け入れる。それを月華は黙って見つめていた