第27章 ~拾参~RECOVERY
私は浦原商店へと戻った。そして義骸を脱ぐと地下へと降りていく
「サラさん?」
辺りを見渡すと恋次がチャドをいつもの様に修行をつけていた
「ここを使いたいんです…空けてもらえませんか?」
「今ですか?」
「お願い…」
サラの表情は今までの不安や迷いが無い。喜助はすぐにその変化に気付いた
「…解りました。阿散井さ~ん!!」
喜助は適当に理由をつけると皆を勉強部屋から追い出した
「じゃあ何かあったら呼んで下さい」
喜助は踵を返すも腕を掴まれそれを制される
「?」
「喜助さんにお願いがあるの。私と…殺し合いをして下さい」
「殺し合い…ですか?」
「私に足りないものを引き出す為に。それくらいしないともう二度と月華には逢えない…そう思うんです」
「…」
眉根を潜めた喜助さんは帽子を被り直すと小さくため息を吐いた
「わかりました。殺し合いと言った以上、アタシも手加減はしませんよ?」
「…そうでないと困ります」
私はそう言うと口角を上げた
そしてお互い抜刀すると紅姫を振り上げ、喜助さんが斬りかかってくる。それを受け止めると私は斬り返す事なく距離をとる
「……起きろ【紅姫】」
私は再度、始解して斬りかかって来た喜助さんに吹き飛ばされ地面へと叩きつけられた
「っ……!!」
私はゆっくりと立ち上がると斬魄刀を構える
「…何故反撃しないんスか?威力は半減してても始解は出来ますよねぇ?」
「いいから続けて…」
その言葉に喜助さんはピクッと反応すると低い声で呟いた
「…本当に死にますよ」
それからもサラはどんな斬撃にも反撃せず始解もしない。その結果、どんどん傷だらけになっていった
「ハァ…ハァ…喜助さん…本気で来て下さい…」
「確かに手加減しないと言った。しかし――」
「最初に言ったでしょう!?」
サラは声を荒げる
「殺し合いだって…私を殺して下さい…」
「サラさん…」
喜助は唇を噛み締めると紅姫を握り直した
「…啼け…【紅姫】!!」
喜助の解号と共に紅い無数の刃が断続的にサラに襲いかかった