第2章 ~壱~MEET
「霊力....?」
サラは聞きなれない言葉に首を傾けた
「そう、貴方にはそれがあります。現にさっきの化け物が見えたでしょ?」
確かに、殺された男達は訳が分からないまま逃げ惑っていた
サラは不安げな瞳を喜助に向ける
「大丈夫ッスよ!霊力は訓練次第でどうにでもなる...」
優しく微笑む喜助にサラは重い口を開いた
「....多分、前にもあったコトがある」
「え?」
「ココに来る前...死んじゃった時?何かに追いかけられて...」
「...生きていた時の記憶があるんスか?」
「少し...それで逃げてくうちに川に落ちて...そしたらココにいて」
ギュッと手を握るサラに喜助は内心驚いていた
生前の記憶がある人はそう珍しくないが、記憶があいまいだったりでここまでハッキリと覚えている人は珍しい
しかも霊力があり、2度も虚(ホロウ)に襲われている
(この子はもしかして....)
喜助はサラをジッと見つめると、手を握った
「行きましょうか」
「ぇ....」
「子供が生きるにはココは酷すぎる、私と行きましょう」
――――――
それからサラは喜助に引かれるまま、ある空家で暮らすことになった
そこは喜助が以前、暮らしていた場所で更木とは比べ物にならないくらい平穏な場所だった
「どうしてここまでしてくれるの?」
サラはずっと思っていた言葉を口にした
すると喜助はキョトンとした顔で答えた
「どうして?助け合うのが〝人”でしょ?それになんかほっとけないというか...私がそうしたかったんスよ」
ヘラッと笑う喜助にサラは子供ながらに胸が締め付けられた
こんな子供に無償で優しさを注いでくれる
サラが喜助に心を開くのも、すぐの話であった