第2章 ~壱~MEET
「大丈夫?」
その人の問いかけに、少女は体を強張らせ俯く
(また....襲われる...?)
「何処かケガしてない?」
再度の問いかけに先程の恐怖から微かに頷くことしかできない
すると、小さな溜息と共に温かい感触が頭上に感じられた
男は頭を優しい手つきで撫でる
「怖くない...大丈夫...」
安心させる言葉を繰り返し呟く男に安心したのか、
少女はそっと顔を上げ、初めてその顔を見た
柔らかそうな金糸の髪
薄く淡い鶯色の瞳
幼い自分でも分かるほど端正な顔をしていた
「ぁ....」
「...まず綺麗にしましょうか」
そういうと男は、少女を抱え近くの川辺に向かい、持っていた手ぬぐいで少女の返り血や泥で汚れた顔を拭った
「よし、これで綺麗に....」
男は一瞬言葉を失った
雪のように白い肌
そこに映えるような桜色の唇
艶やかな髪と瞳
外見にして10歳も満たないくらいにも関わらず、男は少女に対して美しいと思った
(綺麗な子だ....)
そうひとしきり思うと口を開いた
「お嬢ちゃんのお名前は?」
「....サラ、ハルカサラ...」
「サラ...綺麗な名前ッスね♪」
ヘラッと笑う男にサラは段々と安心し言葉数が増えていく
「...お兄さんのお名前は?」
「私ッスか?私は浦原喜助といいます」
「浦原....喜助...」
その名前に何故か温かさを感じた
いつの間にかサラの心からは恐怖が消えていた