第27章 ~拾参~RECOVERY
「…縛道の二十一【赤煙遁】」
サラが放った鬼道により辺り一面に煙幕が発生し視界を奪う。その間に恋次を抱えると離れた所に移動する
「……手ぇ出すなっつったろ…」
「出さないわよ?最後まで戦うのは恋次よ…でも少しだけ協力してもいい?」
「...協力?」
「ええ。ずっと見てたから彼の弱点判っちゃった♪」
「……ホントか?」
恋次は驚きを隠せなかった。戦術の判断、冷静さ。そして何より始解すらしていないにも関わらずの圧倒的な強さ
「…どうする?」
「あのね…」
サラが作戦を話している中、辺りがゆっくりと晴れていく
「どうした?何時まで隠れているつもりだ?」
「…別に隠れてなんかないわ。あなたの技は見切ったから」
サラは隠れもせずにパトラスの前に姿を現した
「くっはははは。誰かと思ったら雑魚の一匹か」
「雑魚?さっき私に止められたのに?」
「…何?」
「だからあなたの技はもう私には効かないの。勝ちたかったら違う技を使う事ね」
「ふん…そこまで言われては仕方ない。貴様等など跡形もなく消してくれよう!!弾けろヘリファルテ!!!!」
パトラスは凄まじい霊圧を纏った斬撃をサラに目掛け放つと大きな爆発が起きる
「愚かな…――!?」
笑みを浮かべたパトラスが気付いた時にはサラが自身の腕を掴んでいた
「愚かなのはどっちかしら?」
「馬鹿な…!?」
「あなたの剣は居合い。刀を抜いては必ず すぐに鞘に戻していた…つまりその鞘にエネルギーを溜めて剣はそれを打ち出すトリガーのようなもの。そして剣を鞘に収めない限り次の攻撃は出来ない…」
「く……」
「それにあなたの攻撃は威力が大きくなる程、モーションが大きくなっていた。幾ら居合いでもこうして簡単に間に入り込む事が出来たわ」
「……この――!!」
パトラスはサラに向かって左腕から虚閃を打ち出そうと構える
「恋次!」
「おう!ぉおおお!!狒骨大砲!!」
背後から現れた恋次は蛇尾丸を振り上げる。その瞬間、巨大な霊圧の塊がパトラスを襲う
「ぐおぉおお!?まさかこんな所で――」
サラが間一髪で避けると大爆発と共にパトラスの体は粉々に砕け散り崩玉が地面へ転がった