第26章 ~拾弐半~LIBERATION2
「井上はオレたちの仲間だ。尸魂界でも必死に戦ってくれた!!本人が強くなりたいと言ってるのにそんな簡単に置いてくことはできない!」
「茶渡くん…」
「感情論じゃないスか。キミは井上サンを死なせたいんスか?」
「違う!井上には戦闘よりも重要な防御と回復の能力が有る!」
喜助はハァッと溜息を吐くと再び話し始めた
「三天結盾の防御力はたかが知れてる…今回の戦いでは役に立たないでしょう。回復にしたって四番隊が居ます
今回は恐らく卯ノ花隊長や虎徹副隊長クラスが前線に出てくるでしょうし井上サンの抜けた穴を倍ほども補って有り余る」
「しかし――」
「しつこいな」
食い下がるチャドに喜助の声が冷たく低く落ちる
「力をなくした戦士なんて足手纏いだと言ってるんスよ」
「浦原さん!!!」
「いいの!!」
怒鳴ったチャドの言葉を遮るように今まで黙っていた織姫が口を開く
「井上…?」
「いいの…ありがとう茶渡くん…ありがとうございます浦原さん…はっきり言ってくれてよかった……失礼します!」
織姫はそう言って寂しそうに笑うとその場から逃げるように走り去っていった
「井上!!待て!!」
追いかけようとしたチャドの肩をガシっと恋次が掴み制する
「阿散井!」
「やめとけ…浦原さんが正しいぜ。四番隊は治療専門とはいえ曲がりなりにも戦闘訓練を積んだ護廷十三隊、ひきかえ井上は能力が有るとはいえ、元はただの人間…加えてあの性分だ。元来戦い向きじゃねぇ。ここらが潮時なのかも知れねぇな…」
「井上…」
チャドはただ走り去っていく織姫の後姿を見つめるしかなかった