第25章 ~拾弐~LIBERATION
鉢玄がパチンと指を鳴らすと、張られていた結界が消えるとグラリと一護の体がその場に崩れ落ちた
そして倒れた一護の顔面から虚の仮面がはずれ、転がった
平子はゆっくりと一護に近づく
「……気分はどうや…一護」
「…あァ……悪くねぇ」
少しだけ顔を傾けた一護はニィっと笑った
「……そうかい」
ギュッと斬月を握り締めた一護。内なる虚の言った言葉が脳裏に過ぎる
「…悪りィな……させねーよ」
一護は上体を起こすと自分にかかる影に気が付き顔を上げる
「サラ…」
サラは黙ったまま一護を見下ろしている
「…サラの言ってた事ってこういう事だったんだな」
「…敗北が恐ろしければ強くなればいい。仲間を護れない事が恐ろしいなら強くなって必ず護ると誓えばいい。内なる虚が恐ろしければそれすら叩き潰すまで強くなればいい。他の誰が信じなくてもただ胸を張って叫べばいい…私の心にいる一護はそういう人よ」
「…自分でちゃんと見つけるまでオマエと向き合えないと思った…」
謝る一護をジッと見つめていた私は手を前に出す
「え?」
「握手…仲直りの基本でしょ?」
一護は目を丸くするとニヤッと笑い私に手を差し出す。私は微笑むと一護の手を握った
「…きゃっ!?」
その途端、手を引っ張られ一護の胸に収まり抱きしめられる
「…一護?」
「2週間スゲー長かった…」
「…こっちのセリフよ…」
私は一護を少し離すと顔を上げる
「…ちょっとだけ寂しかったんだから」
拗ねた様な顔をした私はまた一護にソッと抱きついた
「(可愛い…)悪りい♪」
一護はそんな私の頭をポンポンと撫でる
「もういい…私はいつだって一護の事信じてたから」
その言葉に一護は胸が暖かくなる
「…その…戻ったか?オレの…その…魅力…」
私は目をぱちくりさせるとニッコリと笑い、一護の耳元に顔を寄せ甘い声で囁いた
「前より魅力的よ…今すぐ欲情したくなるくらい…」
「////!?」
私は一護から離れるとクスクス笑いながら地下を出ていった
「…やろ…からかいやがって…」
そう言う一護の顔は穏やかな笑みを浮かべていた。その後、一護は平子とひよ里を筆頭に袋叩きにあう事になる