第23章 ~拾壱半~ADVANCE2
体が動かねぇ
こんな時に説教かよサラ
だがもっともだ
まさかまた同じ事を言われるなんて思わなかったぜ…
まだ流魂街に居る頃だ
焦燥 歯がゆさ 苛立ち
あの頃の俺はそんなもんでいっぱいだった
何処にも居場所はない
戦いと痛み…それだけがオレにとっての真実だった
そんな時、強い者を求め更木にやって来たオレは殺し合いを申し込んだ男に打ちのめされた
「待ち…やが…れっ」
血だらけでひれ伏す一角は必死に上体を起こす
「なんだ まだ生きてんのか」
「どういう気だテメェ!何で止めを刺さねぇ!テメェの勝ちだ!殺して行け!!」
「悪ぃな 戦えなくなった奴に興味はねぇんだ。わざわざ止めを刺してやる義理もねぇしな」
「ふざけんな…バカにしてんのか!?殺せ!!!」
男はゆっくりと一角に近づくと胸倉を掴み上げた
「テメェも戦いが好きなら殺せだ何だと喚くんじゃねぇ…負けを認めて死にたがるな!死んで初めて負けを認めろ!負けてそれでも死に損ねたらそいつはテメェがツイてただけの事だ。そん時は生き延びることだけ考えろ!」
「何を…」
「生き延びてテメェを殺し損ねた奴を殺すことだけ考えろ。オレは手ぇ抜いて戦ったわけじゃねぇ。死に損ねたのはてめぇの運だ。生きろ…生きてオレをもう一度殺しに来い!!」
それだけ言うと男は一角に背を向けて歩き出した
「ま…待ってくれ!!アンタの名を教えてくれ!!」
「……剣八…更木の剣八だ!!」
―――――
「へ…へへ」
息を吹き返したように一角が笑う
「チッ…まさか女に説教されて起き上がる事になるたァなぁ……しょうがねぇ今なら他の連中も、自分の戦いに手一杯で気づかれることも無えだろ。
あーあ、こんなところで使う気なんか無かったのによォ!よく見とけよ?そんで誰にも言うんじゃねぇぞ…卍解!!」