第21章 ~拾半々~EIGHT3
サラはまた目線を落とすと口元に笑みを浮かべながら話しだす
「勉強部屋はね、対話をしに行ってたんです。もしかしたら話してくれるかも…出てきてくれるかもって
ある訳無いんですけどね?私の個人的な理由で置いてきてしまったのにそんな事で出てくる訳―――」
儚く笑うサラにいてもたってもいられず、喜助は思わず抱きしめた
「喜助さん離して…」
「無理して笑わないでいい…笑わないで下さい」
「だって……迷惑かけちゃう…」
「言ったでしょ?アタシにはいつだって心配も迷惑もかけていいんです…勿論甘えるのもね」
その言葉を最後にサラの瞳からは大粒の涙が溢れ、喜助にすがりついた
「ヨシヨシ…」
喜助は頭を何度も優しく撫で、嗚咽を漏らすサラの背中をさすった
「私…このままじゃ誰も助けられない…護る事が出来ない……」
「そんなこと無い…」
喜助はサラの顔を自分に向かせる
「アナタは強い。力じゃなく心です。サラさんはいつだって充分皆の支えになってますよん♪」
その言葉にサラはクスッと微笑む
「ありがとう喜助さん…」
喜助はもう一度頭を撫でるとサラの涙をキスで拭う
「ん……喜助さ…」
もう片方の涙も拭うと瞳に溜まっている涙をチュウッと吸いとった
「は……ぁ…」
愛しい人の漏らす吐息、涙目で頬を染める姿に少し理性がぐらつくも喜助はゆっくりと体を離す
「……月華の事で泣くのは今日が最後です。アタシも協力しますから卍解を取り戻しましょ」
サラは頷くとニコッと笑った
いつもならその笑顔に心臓が高鳴る喜助だったが今日は違った
どうしてサラばかりこんな思いをするのだろう
初めて逢った時からずっとだ
アタシはサラに何かしてあげられるのだろうか
何かしているのだろうか…
悲しむ顔は見たくない
これからもサラの笑顔を見ていたい
いつの間にこんなにも好きになってしまったんだろう
サラ…
アタシは貴女の支えでありたい