第20章 ~拾半~EIGHT2
休み時間になっても一護は自分の机から離れる事なく一点を見つめていた
「なぁ…あれから一週間大人しゅうしとるけどアイツのが日に日にヤバなってないか?」
前の席の真子が耳打ちする様に話しかけてくる
「そうね…」
「サラが話し掛けてもろくに返ってこんやろ?黙って見とくのももうアカンで…アレは弱い心に反応する。このままやと――」
その時ふいに一護がこちらをチラリと見やる
それに反応した真子は見せつける様に私に抱きつく。だが一護はそのまま目を逸らした
「おいおい…いつもなら無理やりにでも剥がしにくるのに...こりゃ重症やな」
私はため息を吐くと真子を剥がし席を立った
「お?どこ行くねん。もうチャイム鳴るで?」
「聞かれたら言い訳しといて…」
私は一護の席の前に立つ。一護は机に映った影にゆっくりと顔を上げる
「何だよ…」
「一緒に来て」
「どこに…って おいサラ…」
私は一護の手を掴むと引っ張る様に教室を出ていった。その光景に教室内が一気にざわついた
「この状況をどう言い訳せぇっちゅうねん…」
平子は頬杖を付きながらハアと溜息をついた
私は一護の手を握ったままスタスタと廊下を進んでいく
「おいサラ…もう予鈴なったし教室に戻んねぇと…」
「今の状態で授業受けて意味あるの?」
「それは……」
私は一護に見向きもせず歩き続ける
そしてある場所に着くと中に入るように促した
「保健室…何でこんな所に―――」
私は保険医がいないのをいいことに内側からカギをかける
「……サラ?」
私は黙ったまま一護に近付くと一護の胸を軽く押す。バランスを崩した一護は後ろにあるベッドへと倒れた
「いきなり何…」
サラは一護が倒れているベッドに腰かけるとそのまま上体を下げ両手を一護の顔の横につく
その重みでベッドのスプリングが軋んだ
その音が妙に生々しく一護は思わず息を飲んだ
好きな人と密室で二人きり…そしてこの状況に自然と鼓動が速くなる。次第にサラの顔が近付いて来るのに一護は目を瞑った
「…やっぱり…熱なんてないじゃない」
私は自分の額を一護の額にあて熱が無い事を確かめると、一護から離れた