第20章 ~拾半~EIGHT2
「痛っ!」
一護に連れ出された平子は壁に叩きつけられていた
「…痛ったいのぅ何やねん。そないキレんでもええやんけ。サラちゃんにちょっと触るくらいええやろ!?そんな好きなんか?」
「ああ…だからサラに触んな」
否定すると思った平子は呆気に取られる
「認めるんかい…冗談通じんやっちゃなあ?」
「…平子、なんでお前まだ学校に来てんだ!?」
「無茶いいよるなぁ。学校に来んのは学生の義務やろ?」
「お前がうちの学校に来たのはオレを仲間に引き入れる為じゃねぇのか!?だったら、もうここに用はねぇ筈だろ!?」
「……なんでやねん?」
平子の声のトーンが低く変わり一護は思わず胸倉を掴んでいた手を緩めた
「お前まさか昨日の今日でもうオレが諦めたと思ってるんちゃうやろな?オレはお前が“うん”言うまでいつまででも纏わりつくでぇ?
もぅ遅いねん…ヴァイザードはいっぺん発症したら二度と元には戻らへん。お前がどう思おうがお前はもう、こっち側やねん。一護、お前ここに居る奴や死神連中みぃんな仲間やと思ってんやろ?」
みんな…大事な人たちが一護の脳裏を過ぎる
「違うで。仲間でおれるんは今だけや。今のまま死神でおり続けたらお前はいずれ必ず内なる虚に飲まれて正気を失う。そうなったら終いや。お前の力は全てを壊すで。仲間も未来も全部巻き込んで粉々にのぅ…
ホンマはもぅ気ぃついてんのと違うか?お前自身の内なる虚がもぅ手ぇつけられへん位デカなっとるちゅーことに…」
一護は目を見開き言葉が出ない
それを悟った平子は言う
「オレと来い一護、正気の保ち方教えたるわ…」
そう言うと平子はその場から去っていく
一護はその場から動けず只手を握り締めていた
(そう言うこと……)
サラは小さくため息を吐くと平子の後を追っていった