第19章 ~拾~EIGHT
「やっぱりさっきの虚は破面…」
「今までも自然発生してきた破面らしき存在は時々感知されてきたが、今回のは今まで確認された破面もどきとは完成度がまるで別物だった
何十年も進歩のなかった破面もどきのレベルが跳ね上がったんだよ。此処にきていきなりな」
「それって――」
「藍染惣右介…アイツが破面もどきと接触して真の破面を作り出そうとしている。崩玉の力を使ってな」
「…アタシの計算だと崩玉の熟成には一年はかかると踏んでたんですけどねぇ」
「無論まだ完成した力じゃないさ。あの破面はまだ未完成だった。レベルは跳ね上がったが霊圧が濁っていた。恐らくはこのレベルでどの程度戦えるかってデーター集めの為に出してきた試作品だ
今でこそあのレベルだが崩玉の力は絶大だ。奴はすぐに実践で使えるところまで研究を進めるだろうぜ。そして完成した真の破面と大虚の軍勢を従えて世界を潰しに現れる…どうするよ?」
一心の言葉に喜助は帽子に手をかけゆっくりと口を開いた
「…何とかします。いずれにしろこの事態だ。敵味方は兎も角として皆動きますよ…仮面の軍勢もアタシ達も…そして尸魂界も。おや…」
喜助は近づいてくる霊圧に気が付く
「この霊圧は一護か…」
「本当はサラさん迎えに来たんスけど顔を合わせると何かと面倒ッスから帰りますね」
「浦原、もう一ついいか?」
喜助が踵を返そうとすると一心は引き止める
「何でしょう?」
「サラちゃんの事なんだが…以前より霊圧上がってねぇか?本人が制御してるからハッキリしないんだが」
「確かに他人の霊圧の探査能力が格段に上がっている。だからアタシも気になって見に来たんスよ」
「そうか…それで一つ気になる事があるんだ」
一心はまた真剣な顔になったのを見て喜助は一心に再び向き直った