第18章 ~玖半~UNTIL2
「……何ですか?」
サラは目を閉じたまま話す
「サラさんには大切な人がいますか?」
「皆大切ですよ」
「そうじゃなくて好きな…異性として愛している人です」
サラはソッと目を上げると上体を起こした
「……いますよ、愛してる人」
その言葉に喜助は胸が締め付けられる。そしてサラが魘されて呟いた名前を思い出す
「……そうなんスか」
「どうしたんですか急に」
「いえ...」
明らかに項垂れる喜助にサラは何故そんな事を聞くのかと首を傾げる
「...多分喜助さんも知ってる人だと思いますよ?志波海燕って知りません?」
その言葉に喜助は目を丸くする
「…え?志波海燕って志波家の長男ッスか!?でも彼は…」
「あ、ちょっと語弊があったかな…愛してたの方が正しいのかも。でも嫌いじゃないから愛してるで合ってるでしょう?」
「じゃ…じゃあ"しゅうへい"って誰ッスか!?」
「え?私、修兵の話した事ありました?」
「いえ…で誰です!?」
「修兵は幼なじみですよ」
その言葉に喜助は安堵の息を吐きサラに抱きつく
「良かったぁ~…アタシはてっきりサラさんに恋人が居るのかと…」
「居ませんよ?どうしたの喜助さん…心配?」
「(好きな人だからなんスけど…ι)いや…まぁ心配ッスねぇ」
「ホントに過保護...」
クスクス笑うサラに喜助はほだされてしまう
「喜助さん…私はこれからもここにいてもいいの?」
突然笑うのを辞めたサラは喜助の肩に顔を埋めた
「……さっきも言ったでしょ?サラさんは家族でありアタシの大切な人です。そんな事考え無くてもいいんスよ」
優しく諭す様に話す喜助にサラは静かに腕を回した
「ありがとう…これからも宜しくね」
「(少し告白のつもりだったんスけどねぇ)……こちらこそ」
笑顔で笑いあう
蟠りの無くなったサラと喜助の間には穏やかな時間が流れていった