第18章 ~玖半~UNTIL2
「起きましたか」
「喜助さん…私どうして…」
「帰って来てすぐ熱で倒れたんス。3日も眠ってたんスよ~?」
「そう…ごめんなさい迷惑かけて…」
「迷惑なんかじゃないッスよ。サラさんは大事な家族なんスから」
喜助は笑いかけるとサラの額に自分の額を当てる
「熱…下がりましたね」
「き…喜助さん…うつっちゃう…」
サラは熱のせいだけなのかほんのりと顔が赤くなる
「…うつりませんよ。サラさんの熱は精神的なものですから」
「…精神的?」
喜助は額を離すとサラの前に正座をし、頭を下げた
「崩玉の事黙っていてすみませんでした。そのせいでアタシは皆さんを危険に晒した…」
「喜助さん…」
「酷い話です…自分は何もしないで皆さんを自分の思惑通りに動かしたんですから」
サラは重い体を起こすと喜助の手を握る
「喜助さんはそんな人じゃない。自分を悪く言うのはやめて?それに謝る必要なんてないのに…」
「サラさんは死にかけたんスよ!?…ちゃんと怒ってくれないとアタシは…」
喜助は握っているサラの手を強く握りしめる
「うん…でも別に私は怒りたくないし別に悪い事した訳じゃないでしょ?
気持ちの在り処はともかく私は喜助さんと一緒に闘ったつもりなんだけどな」
「え…」
喜助はその言葉に俯いていた顔を上げる
「本当は喜助さんが一番行きたかった筈だもの……」
「…行きたかったら何故アタシは行かなかったんスか?あんな門を造るなら自分で行けばいい」
「行かないんじゃない…行けなかったんでしょう?」
サラは強く握られている喜助の手をもう片方の手で優しく覆った