第18章 ~玖半~UNTIL2
「僕は出来たヒトじゃないからこんな事言うの苦手なんだけどね…サラちゃんは物わかりが良すぎだよ。そんなんじゃパンクしない?」
「……浮竹隊長も同じ事を言ってました」
「そう…なら僕の言ってる事は正しいみたいだねぇ。そんなんで大丈夫なの?本当は悲しいんじゃない?」
「わ…私は……」
私は言葉を紡ごうにも次の言葉が出てこない
「うん。なぁに?」
「……私は大丈夫です」
そう言うと私は春水さんに背を向ける
「どうして笑ってたらいけないの……残り少ない時間を楽しもうと此処に来たのにお説教されるなんて…」
「サラちゃん…」
「もう戻ります!!」
私は立ち上がり早足で部屋を出ようとするが身動きが取れなくなる
「……春水さん離して!!春水さ――」
春水さんは後ろから私を抱きしめ片方の手で私の目を覆った
「ごめんね。こうしたら誰にも見えないから…この僕もね」
その瞬間、サラの目から涙が溢れ京楽の手を濡らす
「大丈夫……大丈夫だ」
京楽の優しい声が益々サラの心を崩していく。サラは抱きしめている京楽の腕をギュッと握る
「春水さん……誰にも言わないで…」
「うん、解ってる」
「…私悲しくないの。全然悲しくない……でもね…淋しい。皆が優しくしてくれると嬉しい反面とても淋しくなる…私は本来器用じゃない…だから笑ってるの。皆が私を見て暗い顔をするから私は笑うんです」
「……サラちゃんはどうして欲しい?」
「皆に笑っていて欲しい…私なんかで悩んで欲しくない…皆が笑ってくれたら…」
「そっかぁ…ありがとね話してくれて…なら僕はサラちゃんの前では笑顔でいようじゃないの」
そう言って京楽は塞いでいた手を取るとサラに笑い掛ける
「嘘つき…誰にも見えないって言ったのに…」
その言葉とは裏腹にサラの顔は涙は溢れているがどこか晴れ晴れとしていて口元は笑っている
「……やっぱりそういう笑顔じゃなくっちゃ♪」
そう言って笑った京楽はサラの涙が乾くまで頭を撫で続けた