第18章 ~玖半~UNTIL2
修兵は目を逸らすとまたサラの胸に顔を埋める
「オレ…お前がいないとダメなんだ…お前が居なくなって忘れようと女作ったりしたけどダメだった。オレ…これからどうしたらいい?」
「修兵…?」
「お前がいないとオレは…」
修兵はサラを弱々しく抱きしめる
「…オレは戦う事が怖い!!この顔を虚に傷つけられてから刀を握ると怖じけづく自分がいるんだ…周りが血を流すとオレは凄く怖くなる
演習の時も任務の時も…お前が死んだと思った時も…」
修兵は怯えた様な表情でサラを覗く
「…隊長が居なくなって、サラまでも居なくなる…オレじゃ隊を纏めるなんて出来ない!!こんなオレじゃ…」
サラは首を左右に振ると修兵の頬を両手で覆う
「修兵は解ってない。剣を握るのに必要な事…」
「……必要な事?」
「…恐怖心があるから…戦いを恐れているからこそ同じ恐れる者達の為に剣を握れる。だからこそ貴方は副官という地位にいるの。強いだけじゃ出来ない事よ」
「でもこんな弱いオレじゃ…」
「誰が弱いって決めたの?私は修兵の事弱いなんて思った事無い。優しくて争い事が嫌いで相手の事を考えられる…そんな修兵は強いわ…」
サラは修兵の額にキスをすると優しく微笑んだ
「私は修兵の近くには居れないけど貴方の傍にずっと居る…だから…だからね―――」
その瞬間、修兵の目から一筋の涙が流れた
「あ…情けねぇよな……泣くなんてよ…」
「ううん。それも含めて修兵だもの…私はそんな修兵が好きなのよ?」
そう言って笑ったサラに修兵の心は温かくなる
「もう大丈夫だサラ…ありがとう…」
サラはオレに好きと言ってくれた
でもサラの好きは恋愛感情じゃない
《愛してる》
伝えたいけど伝えられない言葉
オレのモノにならないなら
誰のモノにもならないで―――