第17章 ~玖~UNTIL
「…誰に向かってそのような口を聞いているの?立場をわきまえなさい」
「な…何で止めんだよ…オレは――」
「何度同じ事を言わせるの…」
サラの瞳は冷たくその目が合った瞬間、一護はその威圧感から額から汗が流れる
「(何だ?見られてるだけなのに…こんなサラ初めてだ…)サラ……」
サラは一護を一瞥すると山本に向き直り頭を下げる
「...申し訳ありません」
「構わぬ…旅禍の面々、御主等も準備が出来次第現世へ戻るがいい」
「有り難うございます。……一護、行きましょう」
サラは再度頭を下げると扉に向かって歩き出した
一護も黙って着いていく
「サラ」
「…はい」
山本に呼ばれサラが振り返ると山本は突如 卯ノ花に問う
「卯ノ花隊長…サラの傷はどのくらいで癒える…」
「……傷はほぼ回復しておりますが体力や精神面を考慮すれば二週間といったところでしょうか」
「そうか…ならば傷が完全に癒えるまでの滞在を許そう」
突然の発言に私は驚く
「総隊長としてあるまじき発言じゃが此れは山本元柳斎重國としての発言…このような事しか出来ぬ儂を許せ…」
その姿は総隊長としてで無く、一人の好好爺が居るだけだった
浮「元柳斎先生…」
私はじいに近付くと、じいの胸にそっと抱きついた
「ありがとう……じい」
そしてにっこりと微笑むと部屋を後にした。そこにいる者全ての表情は悲しげで悔しげで、言い知れぬ静寂が辺りを包み込んでいた
「一護…さっきはごめんね」
私は歩きながらおもむろに話かけた
「いや、オレの方こそ…あの人達が一番悔しい筈なのにな」
「皆いい人達でしょ?あそこにいた全ての人が私の事を信じてくれる…それで充分よ」
「…オレってヤな奴だな…」
笑顔で話す私とは裏腹に一護は少し俯く
「どうしてヤな奴なの?」
「…喜んでいるオレが居るんだ…また一緒に過ごせると思ったら……悪りぃ…」
私はその言葉に思わず吹き出した
「フフッ…可愛い♪」
「えっ!?何だよ可愛いって…」
「私と離れたく無かったの?」
挑戦的な笑みで顔を覗くと一護は一瞬にして赤面する
「……ありがとうね、一護」