第3章 ~弐~FRIEND
「まず私がやってみるね?」
サラは的に向かって手を翳す
「(かなり抑えないと…)破道の三十一【赤火砲】」
サラの放った鬼道は真っ直ぐ的に当たった
「流石サラちゃん♪」
「じゃ次、詠唱してやるね」
「え?でもこれは詠唱破棄の練習なんだよね?何故言霊を言う必要が…」
疑問を抱く三人を余所にキクは言霊を詠唱する
「君臨者よ 血肉の仮面 万象 羽搏き ヒトの名を冠す者よ 焦熱と争乱 海隔て逆巻き 南へと歩を進めよ 破道の三十一【赤火砲】!!」
詠唱した鬼道は的に当たった瞬間、辺りの的も薙ぎ倒し砂埃が覆い尽くした
「なっ!?(なんて威力だ…!!)」
砂埃が落ち着き見えるようになると三人は声すらでなかった。そこは跡形も無くなっていたから
「違いが解った?詠唱すると打つまでに時間がかかるけど威力は詠唱破棄した時の倍以上になる……恋次、この意味解る?」
急に真剣な顔になるサラに三人は少し冷や汗が流れる
「えっと…すんません」
「さっき失敗したけどこれが詠唱していたら?もっと威力があったら無傷じゃ済まなかった」
「あ...」
「ああやって爆発するの初めてじゃないみたいだし...これからもっと上級の鬼道を扱う事になる。集中出来ないからケガする前に辞めたほうがいい」
「俺…俺は 俺は死神に成るんだ!!確かに霊術院に入って上手くいかない事多くて邪念が邪魔してた…でもサラの言葉で何か吹っ切れた気ィするんだ。これから真面目にやる!!だから…」
サラは恋次の前に歩み寄り頭を優しく撫でた
「なら大丈夫。恋次はちゃんと解ってる…そんな人が死神に成れない訳ないじゃない。試すような事言ってゴメンね?」
そう言って笑うサラに胸が熱くなり俺は少し涙がでた
そんな俺の涙をサラはそっと優しく拭ってくれた
それから恋次は苦手ながらも鬼道を習得していった