第15章 ~捌~LIMIT
倒れている二人を後目に藍染はルキアに近寄る
「さぁ立つんだ…朽木ルキア」
ルキアの首根っこを掴み歩く藍染は視線を感じ地面に目を向ける。するとそこには鋭い形相で睨み付けている一護の姿があった
「可哀想に…まだ意識があるのか。君の体は今、背骨で辛うじて繋がっている状態だ。幾ら頑張ろうと立つことすら出来ないよ」
そう言いながら藍染は刀を鞘に戻す
「良いじゃないか、君達はもう充分役に立った。そこで大人しく横になっていたまえ。君達の役目は終わりだ」
「役目…だと…?」
「君達が西流魂界から侵入してくることはわかっていた。門付近の警備に三番隊と九番隊を向かわせ、ギンに直接君を追い払わせた。瀞霊壁が下り隊長格が彷徨っているとなると残る侵入方法は志波空鶴の花鶴大砲しかない。しかもその侵入者は隊長格が捕り逃す程の実力者…瀞霊廷中の死神の目はそちらへ集中する
事実、君達の働きは素晴らしかった…おかげで隊長一人殺されても大した騒ぎにならずに済んだ」
「…何で…オレ達が西流魂界から来るってわかったんだ…」
一護の質問に藍染は怪訝そうな表情を覗かせる
「可笑しなことを訊くね…西流魂界は浦原喜助の拠点だからだよ。彼の作る穿開門で行けるのは西流魂界だけだ」
その言葉に一護は言葉を失う
「何だその顔は。君達は浦原の命令で朽木ルキアの奪還に来たんじゃないのか?」
「…どういう…」
一護は藍染の言葉が理解出来ず呟く。それを見た藍染は全てを悟る
「成る程…君達は何も聴かされてはいないようだね。まあいい…」
そう言うと藍染は斬魄刀を抜き一護の元へと歩み寄る
「死人に口無し…その理由を知った所で君達はどうする事も出来ない。さらばだ黒崎一護…君の働きに感謝する」
上げられた斬魄刀に一護は止めを刺されると思った。だが藍染は横に振りその途端、刀の交わる音がした
「……遅かったね。もう現れないかと思ったよ……ハルカ君」