第15章 ~捌~LIMIT
恋次は驚きを隠せない。自分達が一瞬にして双極の丘に現れた事、そして何より目の前の人物に…
「藍染…隊長…何で生きて…それより今…何て…?」
「…おかしいな、聴こえなかったかい?朽木ルキアを置いて去れと言ったんだ阿散井君」
酷薄な笑みを浮かべる男の科白に恋次の額に雫が流れる。そして恋次は重たい口を開く
「……断る…」
「…今、何と?」
「断るって言ったんです…藍染隊長…」
「…そうか、ならば仕方無い…腕ごと置いて行ってもらおうか」
「!!」
藍染の無慈悲な攻撃をルキアを抱えたまま恋次は避けていく
「…上手く躬わすようになったね阿散井君。成長したんだね。元上官として嬉しい限りだ…でもあまり粘って欲しくは無いな…」
次の瞬間、眼鏡の奥の眼差しに殺意が宿る
「蟻を潰さない様にいたぶるのはなかなか難しいんでね…」
その言葉に恋次は疑念だった人物を敵であると認識する
「僕も君の元上官として死なせるのは偲びない」
「…何が"元上官として死なせるのは偲びない"だ!!だったら何で雛森を殺したッッ!?」
「ああ…やはり先程の空気の震えは勇音くんの【天挺空羅】か…仕方無かったんだ。彼女は僕無しでは生きられない…そういう風に仕込んだ。殺して行くのは情けだと思わないか?
でも彼女を手にかけたくなかったのも事実だよ。だからこそ吉良くんや日番谷くんと殺り合ってもらおうとしたんだけど上手く行かなくてね…」
「…今の言葉でよく判ったぜ…オレの知る藍染隊長はもう何処にもいねぇってな!!」
恋次は怒りに震え斬魄刀を抜いた
「君の知る藍染惣右介など最初から何処にも居はしないよ」
「…恋次…!」
「テメェは黙ってろルキア!!吼えろ【蛇尾丸】!!!!」