第15章 ~捌~LIMIT
私は冬獅郎に駆け寄ると頬を触る
(冷たい...さっきまでは温かかったのに...)
そして目を細め、身震いをした時、頭にある考えが浮かぶ
「――!!!…もしかしたら…まだ助かるかもしれない...」
「どういう事です!?」
「この氷の部屋…これだけ気温が下がっているならば…」
その言葉に二人はハッと目を見開いた
「成る程…やってみる価値はありそうですね。死体の人形を見破った事といい貴女は一体…」
私はその言葉に襟巻きを押し下げた
勇「...サラさん!?」
「…生きていたのですね」
「はい…私はこれから彼等を追います。冬獅郎達をお願いします」
勇「でも何処に行ったのか…」
「双極の丘…彼等は其処にいる」
「サラ…貴女は何か知っているのですか?」
「判りません…彼等が何を企み実行しようとしてるのか…でもまた何も出来ないのは嫌だから…」
勇「…また?」
私は困った様に少し口元を緩めると襟巻きを巻き直し一礼をして立ち去った
その表情を勇音は不思議そうに見ていたが卯ノ花は全てを理解し一瞬暗い影を落とした
私は走りながら思念を巡らせていた
四十六室が殺されて一月近く経っていた…
という事は伝令は全て改竄されていた事になる
ルキアの処刑を速めた事実…
其処に鍵がある―――
そして双極までの道のりを半ば過ぎた時、屋根に一人の死神が倒れているのに気付く
(―――彼は…)
私は彼の前に降り立った