第15章 ~捌~LIMIT
中央四十六室へ着いた冬獅郎は微かな桃の霊圧を頼りに、四十六室の居住区である清浄塔居林に辿り着く
そして冬獅郎は中にいた思いがけない人物に息を飲む
「…市丸と……藍…染…!?」
「やぁ日番谷君」
「どういう事だ…テメェ…本当に藍染なのか…?」
信じがたい状況に冬獅郎は思考がついていかない
「…勿論見ての通り本物だよそれにしても予想より随分と早いご帰還だね」
「すんません…イヅルの引きつけが甘かったみたいですわ」
「何の…何の話をしてんだ…」
「何の話?ただの戦術の話さ。敵戦力の分散は戦術の初歩だろう?」
そう言うと藍染は妖しく笑い、その言葉に冬獅郎は絶望する
「敵…だと……雛森は何処だ!?」
「何処かな」
「―――――!!!」
ニヤッと妖しく笑う藍染に冬獅郎は藍染の後ろにある部屋に飛び込んだ
「ひ……雛…森……」
冬獅郎が目にしたのは血に覆われ既に息の無い桃の姿だった
「…残念、見つかってしまったか。済まないね、君を驚かせるつもりじゃなかったんだ。せめて君に見つからないように…粉々に斬り刻んでおくべきだったかな?」
「――!!!…どういうことだ藍染…市丸…テメェらいつからグルだった!?」
冬獅郎は肩を震わせ歯を食いしばりながら必死で言葉を紡ぐ
「最初からさ。私が隊長になってからただの一度も彼以外を副隊長だと思ったことは無い」
「じゃぁテメェは今迄ずっと雛森も…俺も…テメェの部下も他の全ての死神達も皆騙してやがったのか!!」
「騙したつもりはないさ。ただ君達が誰一人理解していなかっただけだ。僕の本当の姿をね」
「理解してなかっただと?テメェだって知ってる筈だ…雛森はテメェに憧れてた…」
「知っているさ、自分に憧れを抱く人間ほど御し易いものは無い…良い機会だ。一つ憶えておくといい日番谷君……憧れは理解から最も遠い感情だよ」
その言葉を聞いた瞬間冬獅郎は怒り狂い斬魄刀を抜く
「卍解【大紅蓮氷輪丸】!!藍染...オレはテメェを殺す!!!」
「…あまり強い言葉を遣うなよ…弱く見えるぞ」
藍染は冷たく放つと妖しい笑みを張り付けた