第3章 ~弐~FRIEND
流魂街78地区【戌吊】
更木、草鹿に次いで治安が悪く霊術院では暗黙の了解で上流貴族との格差が拡がっていた
目立った事は無いが、何かにつけ陰口を叩かれた
庶民のくせに
下品なヤツ
勉強が出来たら疎まれる
出来ないと馬鹿にされる
一体俺が何したっていうんだ!?
「78地区…戌吊ね。あそこはかなり治安が悪いわ」
「でしょ?何でこんな奴と一緒なのか解んないです」
「そんな言い方…」
「そうだよ!!皆言い過ぎ…」
「そんな事言って、お前ら上流階級出が言っても説得力無いって...いつもコイツのせいで授業が遅れるし煩わしいんだよ」
イズルと桃がこの事態を止めようとするも、その言葉に反論が出来ない
「煩わせるかぁ…確かにそうね」
「 !!!(所詮この人も同じか…)」
「でもそんなのは当たり前...生徒に手をやくのは先生の特権じゃない。私はそんな生徒がいた方が嬉しいけど…」
サラの言葉に辺りは騒然とする
恋次も驚きを隠せずにいた
「皆が何でも出来たら先生要らないでしょ?初めから出来る人なんていないから教えがいがあるんじゃない」
「でも...コイツとは一緒にやっていけません!!」
「私も…常識はずれ好きじゃないし」
周りが一同に頷いているのを見るとサラは静かに笑ったかと思うと、真剣な顔付きに変わる
「……そう。なら私の事は?」
「え?そんなの決まってるじゃないですか」
「そうですよ。美人で聡明で常識があってお優しくて…嫌いになる理由なんてありません」
「…理由がないか、嘘でも嬉しい」
「嘘なんて…」
「私が80地区【更木】出身でも?」
「………え?」
恋次は思わず声を上げた
自分より悪い地区の人物が目の前にいる
こんな曇りのない綺麗な目をした人があんな場所にいたのか
そう思うくらいにサラは凛としていた