第14章 ~漆半々~GO3
「そう...じゃぁ一人の兄としては?」
「そのような感情は今回の事に関係ない…私はただ決定に従うのみ…」
私は抱きしめていた白哉の腕を解くと白哉を見つめる
「……そんなに掟が大事…?」
「―――――!!!」
その瞬間、白哉の表情はいつもの人を寄せ付けない厳しい顔に戻り私の肩を掴み壁に押さえつける
「…兄に何が解る!!私は朽木家ニ十八代目当主 朽木白哉だ!!」
他の人がみたら白哉らしからぬ態度に驚きを隠せないだろう。だが私は表情一つ変えずに白哉を見つめ続ける
「……えぇ、解らないわ。貴族の気持ちなんて」
その言葉に白哉はフッと自虐な笑みを浮かべる
「…ならこれ以上口を挟むな。私がどうしようと兄の知った事ではない」
「……でも朽木白哉の気持ちなら解る…そんなに掟が大事というならそれも良し。…なら貴方の代わりに私が掟を破るわ」
「!!!……ならば私は兄を止めねばならぬ」
「えぇ。元より私は旅禍…敵対するのが当たり前だもの。でもね白哉…貴方が朽木白哉として対峙するなら私も受けて立つわ」
「…どういう事だ」
「それは貴方が一番知ってる筈よ…」
私の言葉に白哉はゆっくりと手を離した
「貴族の主である貴方…隊長である貴方…どれも貴方であって貴方じゃない。私の知っている貴方は妹を想う心根の美しい人だったわ。処刑までまだ時間がある…良い決断を」
私はそう言うと白哉の前から姿を消した
「……本当の私だと?私は朽木白哉…それ以外の何者でもない……私は―――」
表情こそ変わらないが、呟いた白哉は壁を前に拳を握りしめ続けてていた