第15章 ~捌~LIMIT
処刑時刻となりルキアは隊長格の立会のもと、双極の丘で最期の声を紡いでいた
山「何か言い遺すことはあるかの?」
「…はい、一つだけ…」
ルキアはずっと心残りだった事を山本総隊長に乞う
山「…良かろう。御主の願い通り処刑の終わった暁には旅禍共を無傷で帰らせてやろう」
「あ…ありがとうございます!!」
勇「非道い…どうせ生かして帰すつもりなんてないクセに…」
その様子を傍観していた一人、四番隊副隊長の虎徹勇音は怪訝に呟く
卯「非道くなどありませんよ勇音。慈悲です…何れ避らぬ終焉ならば…」
山「双極を解放せよ!!」
山本の一声で矛が唸りを上げその形状を崩していき朱雀の様な火の鳥【燬鴣王】が現れる
ギンに乱された心もようやく落ち着きを取り戻したルキアは一人心中で思う
元柳斎殿の約束のお陰か
目が合って直ぐ反らした兄様の冷たさ故か
不思議と心は落ち着いている
私は良く生かされた
有り難う御座います兄様
有り難う 皆
有り難うサラ……
有り難う……一護
「―――さよなら…」
燬鴣王がルキアに向かって来るのを静かに目を閉じて待っていたが懐かしい声が響きルキアは苦しそうに眼を開く
「ルキア…遅くなってごめんね」
「ようルキア!!助けに来たぜ」
「……サラ…一護…?」
そこには斬魄刀と鬼道で双極を抑えるサラと一護の姿があった
山「馬鹿な…二人とはいえ斬魄刀数百万本の霊圧を持つ双極を受け止めただと!?」
京「七緒ちゃん…もしかして彼が…」
七「ええ。髪の色などの特徴から旅禍のリーダーらしき男かと…」
京「そうか…結局間に合ったのは彼等だったって訳か…」
「ば……莫伽者ッ!何故また来たのだッッ!?」
「てめ…折角助けに来てやったのに…」
「他にも助けに来たみたいよ?」
サラの言葉に目線をずらすと、そこには大きな盾を持った男が副官を引いて現れた